お彼岸はインドや中国にも存在していない日本独特の行事であり、平安時代から始まって江戸時代になってから民衆の行事のひとつになったものです。
覚りの世界を「彼岸」と言い、迷いと苦しみに満ちた私たちの世界を「此岸」と言います。此岸にいる私たちが六波羅密(布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧)の仏道を実践して励む時期であるとされていました。さらに、春秋の時期に太陽が覚りの世界である「西方浄土」たる真西に沈むことも重なってこの時期を「彼岸」としました。
また、「春秋の彼岸は暑からず、寒からず仏法修行のよき時節」とも言われています。日々の忙しさに追われ、自分を見失って過ごしている私たちにとって、日ごろの生き方を振り返り、教えに耳を傾け、本来の自分を取り戻すきっかけでもあり、彼岸たる浄土の光に照らされて、此岸たる私の迷いに気付かされ、真実なるものに目を開かせていただくという意義ある行事です。