ブログ|早稲田墓陵

魂の故郷(いのちのふるさと)から一言

住職、副住職をはじめ龍善寺のスタッフが、日々の歩みの中で気づいたこと、
感じたことを綴ってまいります。一月1回の更新予定です。
これもご縁と、ちょっと息抜きにでも、お立ち寄りいただければ有難いことと思います。

ハブとマングース

2020年8月現在、早稲田墓陵(龍善寺境内墓地、早稲田永代供養墓、早稲田納骨堂)では、消毒液の配置や屋内窓の換気等を行いながら感染対策に努めておりますので、境内墓地、永代供養墓、納骨堂共に参拝可能になっております。
但し、東京都からのコロナウィルス感染拡大特別警報が発令されたことに伴い、8月11日から当面の間、早稲田納骨堂の夜間参拝時間を短縮(午前9時から午後5時まで)させていただいております。
また、今後の状況により、再び緊急事態宣言並びに東京アラートが再度発令された場合には、更に開館時間が変更になることがございますので、その際には当寺のホームページにてご案内させていただきます。

 

さて、連日、暑い日が続いております。
少し動くだけでも汗が止まらなくて、ついつい冷たいものばかりを飲んでしまいがちですが、私の中での「夏」といいますと、真っ先に思い浮かびますのが「海」です。
暑くなればなるほど、海が恋しくなってしまいますが、
先日、その綺麗な海がある沖縄に生息している「マングース」についての記事がありました。
「マングース」という言葉を耳にして思い出しますのは、今から約30年近く前、初めて沖縄へ行ったときに見た「ハブとマングースの戦い」というもの。
これは、同じ箱の中にハブとマングースを入れて戦わせる見世物です。
現在は、動物愛護法がありますので、今のご時世にはそぐわない内容ですが、そもそも何故、ハブとマングースを戦わせていたのか、その当時から不思議に思っていたところもありましたので、改めて少し調べてみましたところ.....

 

沖縄には沢山のサトウキビ畑があるわけですが、実はそのサトウキビを目当てにネズミが畑にやって来るそうです。次にそのネズミを目当てにハブがサトウキビ畑に侵入して来ますが、ハブの存在に気づかずに農作業している島の人たちが次々とハブに噛まれてしまう出来事が多発。
そこで、ある大学教授の方が、インドに生息しているマングースが、毒を持つコブラ蛇と果敢に戦っている事実を知り、ハブの駆除としてマングースを日本に持ち込んだ、というのが大筋の経緯です。

 

マングースが島に来た当時は、島民の方々もハブを退治してくれるマングースを大歓迎したそうです。
ただ、当初、島に放たれた30匹弱のマングースが、時間の経過とともにいつの間にか想定を超えた3万匹以上まで増殖してしまったことで、あるとき、数匹のマングースを捕まえて、胃袋の中を調べてみたところ、
実はマングースが捕食していたのはハブではなくて、ヤンバルクイナやアマミクロノウサギという国の天然記念物を捕食していたことが判明。
そこで、国や住民は大慌てでマングースをハブ退治の「期待の星」から、急に「有害生物」という扱いに変えて、環境省の旗振りのもと、マングース駆除が始まり、その駆除よってマングースが激減したことが先日の記事に載っていたというわけです。

 

改めて考えみますと、そもそも人間の手には負えないハブを退治してもらうために、マングースを島に持ち込んだのは誰でしょうか。
他でもない、私たち人間です。
マングースを日本に持ち込んだのち、結果として島の生態系が壊されてしまったわけですが、それはマングースが島の生態系を壊してしまったというよりも、マングースを持ち込んだ人間が壊してしまったといっても言い過ぎではないと思っています。

 

私を含め、私たち人間の相(すがた)のひとつとして、自分にとって都合が「善い」ことはそのまま受け入れるものですが、急に都合が「悪く」なった途端に排除という一方向に傾いて、どこまでも「自分都合の善悪」でしか生きられないのが私たち。
ただ、そんな私たちに「都合の善いことは、必ず都合の悪いことを持ち合わせている」。
その眼を開かせてくださる世界、それが他でもない、今現在私たちがご縁を頂いている仏さまの世界だと受け止めています。

 

南無阿弥陀仏

2:住職 小林太一

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