ブログ|早稲田墓陵

魂の故郷(いのちのふるさと)から一言

住職、副住職をはじめ龍善寺のスタッフが、日々の歩みの中で気づいたこと、
感じたことを綴ってまいります。一月1回の更新予定です。
これもご縁と、ちょっと息抜きにでも、お立ち寄りいただければ有難いことと思います。

絵本

先日、お寺からの帰り道、小学4年生の姪の家に立ち寄ってきました。
姪は机に向かう勉強よりも、外で元気よく遊んでいることが何より大好きな子です。
部屋に大きな本棚が置いてあっても、肝心の本がほとんど入っておらず、本の代わりにぬいぐるみが飾ってある始末で、その状況を改めて見た叔父の私としても笑うしかありませんでした。
ただ、その大きな本棚の中にある数少ない本は、机に向かうことすら好きではない姪が、あえて残している本ですから、彼女なりにその本から何か感じたものがあったのではないかと思い、姪がどんな本を読んだのだろうと興味本位で、その数少ない本のタイトルを眺めていたんですが、思わず手に取って読んでみたのが『ぼちぼちいこか』という題名の絵本でした。
この絵本は、海外出版されたものが翻訳されているわけですが、題名でもおわかりの通り、関西弁の言葉で表現されており、とても温かみを感じる絵本になっています。

 

実際のお話は、大きな動物のカバ君が、色々な仕事に就こうと挑戦するのですが、どれも上手くいきません。
例えば、消防士になろうとしても、自分の体重が重すぎて、梯子が壊れてしまいます。
船乗りになろうとして、小船に乗り込んでも、やはり自分が重すぎて船が壊れて沈んでしまう。
宇宙飛行士になっても、機体だけ飛んでいってしまわけです。
気を取り直して、ピアニストになってピアノを弾こうとしても力が強すぎてピアノが壊れてしまう。
更に職種を変えて、マジシャンとなり、自分のハットから何かを取り出して手品をするつもりでしたが、手が大きすぎてハットから手が抜けなくなってしまう、などなど。
どんな仕事が自分らしいのかを色々挑戦してみるわけですが、どれも上手くいかず、最後は木のハンモックで横になって「ぼちぼちいこか」という一言を残して、この絵本が終わります。
絵本ですから、さっと読めてしまうページ数ですが、内容はとても意味が深く、実は浄土真宗の教えと重なっている点がある絵本だと思いました。

 

現在、浄土真宗が大切にしている経典には「仏説阿弥陀経」というお経があり、その内容には「青き色には青き光、黄なる色には黄なる光、赤き色には赤き光、白き色には白き光」と書かれています。
これは、ひとり一人がそのままの色で輝きなさい、他の色になる必要はないと私たちに語ってくださっている一言です。
私たちは、つい誰かと自分を比較して、勝手な優劣を決めてしまいがちです。
そして、無理して自分の持っていない色や光を出そうと背伸びして、疲れてしまいます。
ただ、本当は自分にしかない色や光を誰もが持っているはずです。
カバ君は、自分の持っていない色や光になろうと、色々な仕事に挑戦してみるわけですが、最後は他の何かになる必要もない、カバはやっぱりカバのままでいいのかなということに気付き、ハンモックでお昼寝することにしたわけです。
勉強嫌いな姪が、この絵本を残していたのは、「自分のままでいいんだ。」ということをこの絵本から学んだからかもしれません。

 

誰かの真似をする必要もなく、誰かになろうとすることも不自然です。
「あなたは、あなたのままでいい」
これが仏さまからの願いです。
そして「ぼちぼちいこか」の気持ちになれたら、少し気が楽になるのかもしれませんね。

 

南無阿弥陀仏

 

2:住職 小林太一

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