ブログ|早稲田墓陵

魂の故郷(いのちのふるさと)から一言

住職、副住職をはじめ龍善寺のスタッフが、日々の歩みの中で気づいたこと、
感じたことを綴ってまいります。一月1回の更新予定です。
これもご縁と、ちょっと息抜きにでも、お立ち寄りいただければ有難いことと思います。

浄土真宗(真宗大谷派・本山 京都東本願寺)龍善寺・「泣き阿弥陀」様との出会い

都会特有の地下鉄偏西風に背中を押され、東西線早稲田駅1番出口の階段を上る。
そこから龍善寺・早稲田納骨堂まで歩いて1,2分。都心ながら、静かなこの町の、朝の人波は優しい。まだ空いていないスーパー、ヘアサロン、本屋・・・それからコンビニ。その横にまつられるお地蔵さんを通り過ぎると、龍善寺・早稲田納骨堂がすぐ視界に入る。
真宗・大谷派のお寺。その寺院が母体となる早稲田納骨堂である。

 

・・・ここが今年4月から、私の新しい学びの場となりました。
この朝の空気を味わうようになって、もう5か月が過ぎようとしています。龍善寺では「副住職」という役職名を頂き、法務に携わり、今回、このブログに登場することになった次第です。

 

お地蔵さんを通り過ぎ、交差点を渡ると「楼門(ろうもん)」と呼ばれる龍善寺の2階建風の山門があります。その山門の前には、新宿区教育委員会が立てた看板があり、龍善寺のご本尊である阿弥陀仏が紹介されています。
この阿弥陀様は新宿区の有形文化財に指定されている仏様で今か約800年前の平安末期の作品。区内では最古の仏像なのだそうです。「いい国(1192)造ろう鎌倉幕府」の頃、平安末期からのお姿なんです!

 

かつて、この仏様を訪ねて来られた二人の有名人がいます。イラストレーターのみうらじゅん氏と小説家、作詞家、ラッパー、ベランダー等等多彩な才能の持ち主、いとうせいこう氏です。このお二人は全国津々浦々を訪ねてイラストとゆかいな文章で仏さまを紹介する本・『見仏記』を出版されています。お二人はいわゆる有名どころの仏さまだけではなく、私の郷里でもある大分県宇佐市・・・統合して宇佐市となりましたが、今でも宇佐郡という方がふさわしい山村の小高い山の中腹にある、大分県人でも知らない龍岩寺というお寺の、木彫りの大きな仏像を訪ねて、数十年前にそのシリーズ本で紹介。こんな辺鄙な場所にまで!?と思わせるほどの仏像マニアです。

 

このお二人が龍善寺の阿弥陀様について本の中で「わかんないけど、『泣き阿弥陀』と称そう」と語っています。(1997年新宿文化財ガイド『新宿見仏記』)そしてその美しさは京都・永観堂の見返り阿弥陀に似ていらっしゃるとも。
「泣き阿弥陀」・・・・週に一度、法務員としての仕事、ご本堂の掃除、その阿弥陀様がいらっしゃいます宮殿(くうでん)の埃を払ったりする中で、阿弥陀様と間近にご対面させていただくという役得があります。そうなんです。龍善寺の阿弥陀様はほんとうに涙を流していらっしゃいます。この阿弥陀様はどんな思いで800年ものときを過ごされてきたのでしょう。また、人々はどんな思いでこの阿弥陀様の前で手を合わせたのでしょうか。

 

そのお二人は取材で訪ねた龍善寺旧本堂で座りこみ、静かな場所で涼を取り、境内から道を急ぐ人々を眺めながら、こんなことを書かれています。(龍善寺の旧本堂の前での二人の写真の掲載もあります。)
「誰も阿弥陀の方など見ない時代・・・だが、仏像は相変わらず、人間を見ており、しかも自分を見よとは決して主張せずにいる。永遠の片思いのようにして人間を見つめている」

 

浄土真宗は念仏・「南無阿弥陀仏」を大切にしています。それは「阿弥陀様に全てをお任せします」という意味です。浄土真宗龍善寺には、三つの本堂と、地下に広がる納骨堂があります。三体のそれぞれに特徴を持つ阿弥陀様と、納骨堂には各ブース、お花を手向ける場所など、多くの阿弥陀様がいらっしゃいます。一階本堂はいつでもお参りしていただけるように開放されています。龍善寺・納骨堂へお参りの際には、一階本堂で阿弥陀様の視線を感じてみませんか?とても静かな空間です。日ごろ、自分の思いでがんじがらめになっている私たち。静かなご本堂には日常から解き放された時間がきっとあります。そして龍善寺での行事や法話会やご法要の折には、是非、3階西本堂にまします「泣き阿弥陀」様と対面してください。
それに、龍善寺の実物の「泣き阿弥陀」様は立て看板のお写真よりはかなりハンサム?であることもお伝えしておかなければなりません。

 

お彼岸が近づいて参りました。浄土真宗・龍善寺、早稲田納骨堂への皆様のご参詣をお待ちしております。暑さ寒さも彼岸までと先人は伝えてきました。最近の異常気象を憂いつつ、残暑もあともう少し!と願いながら、皆様方がお体にお気をつけてお過ごしくださいますよう、スタッフ一同、心より念じております。

合掌

 

釋尼 至薫

副住職 額田薫未分類

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