ブログ|早稲田墓陵

魂の故郷(いのちのふるさと)から一言

住職、副住職をはじめ龍善寺のスタッフが、日々の歩みの中で気づいたこと、
感じたことを綴ってまいります。一月1回の更新予定です。
これもご縁と、ちょっと息抜きにでも、お立ち寄りいただければ有難いことと思います。

夏の思い出     浄土真宗 龍善寺(真宗大谷派 本山 京都東本願寺)発

早稲田納骨堂の仏様の前に*荘厳された花々に、ススキの穂に、秋を感じるこの頃です。

 

夏のある晴れた日、山梨県と長野県をまたぐ三つ峠に登りました。いつもはゴロゴロしている休日。朝7時半に八王子で待ち合わせし、車で向いました。いつか、また行きたいと思い続けること、30数年。長い年月が流れました。
30年以上も前、会社で働いていた頃、大学の登山部だった方々に連れられて山によく行きました。三つ峠もその1つです。その時の雄大な富士山が忘れられませんでした。

 

地図を読めない私は、車のナビ頼り。三つ峠の駐車場の電話番号を入れても、河口湖町周辺までしか案内してもらえません。地図も読めないしねぇと友人に話すと、彼女は地図なら読めると言うので、地図を手に入れると、何と、少しも迷うこともなく峠まで連れていってもらえました。

 

今回、登るに当たり、それなりに下調べをしている中で、三つ峠とは、「三つ峠」という名前の峠ではなく、三つの峠が臨める場所であることを知りました。そのうちの一つが「御巣鷹山」。・・その名前を聞き、心の中で何かが渦巻きました。御巣鷹山・・
33年前の1985年8月12日、お盆の帰省で満席の客を乗せた日航機がクラッシュした映像がフラッシュバックされてきます。ご遺族の方々は、おそらく今年も御巣鷹山に登られたに違いありません。その悲しい事故の事を知るはずもない同行の23歳の友人にも話し、心に刻んで登ることになりました。

 

1時間半ほど、ちょっとしんどい思いをして山頂まで行き、ランチを終えても、まだ1時。憧れの富士山は真夏の姿で、思い出の富士山とは違いましたが、気分は爽快!家を出るのがすこし億劫だったにも関わらず、この充実感はなんなのだろう・・・同じ物理的な長さの時間にも関わらず、感じる時間の長さは、よくも悪くも、時には長く、時には短く、感じられます。

 

多くの方々にお参りいただいた秋のお彼岸も終わりました。いつもは個室として使われて早稲田納骨の8つのブースは、お彼岸や大きな行事の時は1部屋を3つに区切り、オープンスペースとなります。お彼岸も終わり、浄土真宗・龍善寺(真宗・大谷派)早稲田納骨堂にも、日常が戻り、ブースも個室としてお使いいただけます。いつものように、お参りの方々をご案内するにあたって、「ごゆっくりどうぞ」と声をお掛けし、個室となっている各ブースの扉を閉めます。
扉を閉めた瞬間、そこにはどんな時間が広がるのでしょうか。早稲田納骨堂では、ご納骨された方の俗名、法名、お写真が各ブースのモニターに表示されるようになっています。そのお名前やお姿を通して、時空を超えた物語が、そこに広がっているに違いありません。私どもは決して長さだけではない「ゆっくり」とした時間をお過ごしいただくことを、ただ、願い、扉を閉めます。

 

私の、この夏の1日・・これから先・・もしかしたら30年後、富士山という名前や姿を地球上のどこかで見ることになる、三つ峠に一緒に登った英国人の友人は、日本でのこの夏の1日を思いだしてくれるでしょうか?異国の初めての土地で私に的確な道案内をしてくれたことをも。

 

秋の風を感じ、お浄土へ往かれた人を思い出し、語りかけたくなった時、ふらっと浄土真宗龍善寺(真宗大谷派)・早稲田納骨堂へお立ち寄りください。
時空を超えた、ときが、物語が、そこにはあります。
スタッフ一同、心より、「ゆっくり、お過ごしください」と申し上げたく思います。

 

*荘厳(しょうごん)・・かざること

釋尼 至薫(20180930)

副住職 額田薫

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